株式会社 エコロの森
代表取締役 森田由樹子さん
取材日:2020/7/9
ライター:小野楠奈
※オンライン取材
森田さんが歩んだ人生
オンラインを通して、森田さんに取材をさせていただきました。森田さんは立山から私たちの取材を受けてくださり、そこでは踏切の音や立山の緑を感じることができました。
取材の前半、森田さんの歩んだ人生についてお聞きしました。森田さんは、SDGsでも問題として取り上げられていることを経験され、それをきっかけに、人や社会の在り方について疑問や関心を持たれたそうです。そのことが、SDGsについて関心を持たれたことにつながったのではないかと感じました。
森田さんは大学生まで北海道に住んでいました。大学生のときに、ある雑誌で女性が新聞記者として働いていることを知り、興味を持ち、新聞記者になりました。倍率が高い試験に合格したのは、北海道で森田さんたった一人だけでした。しかし、新聞記者にはなれたものの、当時その仕事は男性の仕事で女性が働ける場所ではないとされ、女性への差別が多くありました。そもそもの労働環境も悪く、男女ともに深夜まで働くことやその残業代が出ないことが当たり前でした。それに加えて、当時は男女が対等に働くための法律がなく、女性に対してのセクハラ、パワハラが絶えない環境でした。その後、法律ができ、残業代は出るようになりましたが、女性への差別はなくなりませんでした。それでも、森田さんは仕事を続けていきたいという思いからそれらに耐え、辞めていく人がいる中でもそのまま仕事を続けていました。当時、森田さんは経済部に所属しており、そこでは私生活を送ることができないほど、長時間働かなければなりませんでした。そのうちに私生活を大事にしたいという思いから違う部署へ移ることを決意します。新たな部署は、前の部署とは違い、ワークライフバランスがしっかりととれている部署でした。そうして、結婚し、子育てをするという、私生活を送ることができる幸せを手に入れました。
私は、ここで森田さんが話された「長い人生の中で、仕事という一生の時間は緩んでも取り返しはつくが、子育てという約20年間の時間は取り返しがつかない」という言葉が印象に残っています。私もこういう言葉を発信できる人になりたいと思いました。
新たな部署では、女性求人のための女性向け記事を書く仕事をしていました。女性がバスツアーなどいろいろな体験をする記事を書くために、自分でツアーを考え、企画を実施していました。その際、地域の人に協力してもらう必要があり、そこで地域の人と深く関わることになりました。このことは森田さんにとって忘れられない思い出になり、現在の仕事をするきっかけにつながったそうです。
そして、森田さんはこの部署でどんどん出世していき、次は部長というところまでいきましたが、夫の転勤をきっかけに仕事を早期退職し、富山へ移住しました。そこで今までの経験がつながり、新聞記者時代に関わった、環境問題を学んだり地域の人との交流を深めたりするエコツアーを実施しています。これらのエコツアーでは環境保全と地域づくりの両立を目指しています。
エコツアーについて
立山でのエコツアー 白木降でのエコツアー
森田さんは、写真のような、富山県の歴史、自然、文化を自分の肌で体験する旅を作っています。目指しているものは「エコツーリズム」の旅で、自然環境に負荷を与えず、富山の土地、自然、文化についてよく感じることができ、そしてそれらが富山の発展につながるものです。エコツアーを通してその場をよく知り、好きになることが、自然や環境を守ることにつながっていきます。また、参加者が「楽しかった」「わくわくした」と感じ長く思い出に残ることがエコツアーの魅力です。このエコツアーは、一人からでも参加できるので、誰でも気軽に参加できます。
SDGsを知ったきっかけは?
森田さんは、エコツアーという環境系の仕事をしていくうちにSDGsを知りました。最初は、SDGsについて、英語だからわかりにくい、伝わりにくいという印象を持ちました。その後、自身の仕事であるエコツアーはSDGsとどう関わるのかを考えてみたところ、17の目標のうち、14(海の豊かさを守ろう)、15(陸の豊かさを守ろう)に関わっていることに気づきました。さらにSDGsを学んでいくうちに17の目標はすべて大切な項目であると感じるようになったそうです。
SDGsがどうあるべきか?森田さんの思い
森田さんは、多くの人がSDGsを自分のこととして考えることが大切だと仰っていました。そのために、SDGsを壮大な問題、他人事とは思わず、自分にとってどういう関わりがあるのかを考えることが大切だということも口にされました。
これらがエコツアーをすることにもつながっているのだと私は感じました。私は、エコツアーについて、自分の五感が自然を味わい、感じることで自然の大切さを伝えられるものだと考えています。言葉ではなく、自分の体で感じることでSDGsにも関心を持つことができるのだと感じました。
一人一人がSDGsを理解し、取り組むことができる社会を作ることが森田さんにとってのSDGsのゴールだそうです。
森田さん個人のSDGsへの関心
森田さんがSDGsの項目で関心があるのは、1(貧困をなくそう)、2(飢餓をゼロに)、3(すべての人に健康と福祉を)、4(質の高い教育をみんなに)、5(ジェンダー平等を実現しよう)で、グローバルな問題に興味を持っています。かつての職場での女性差別、子育ての大変さなど、自身が経験したからこそ、その項目に関心があるのだと私は感じました。
ライターの感想
森田さんは自分のやりたいことを仕事にされています。そのためには相当な努力をしなければならないこと、多くの苦労があることがわかりました。それらを乗り越えられたのは、自分が心からやりたい、負けたくないという思いを持っていたからだと感じます。また、仕事を続けてきたからこそ、次のやりたいことにつながっていくのだと取材を通してわかりました。自分のやりたいことが明確でそれを成し遂げるために試練を乗り越えてこられた姿は、同じ女性として本当にかっこいいと感じました。
ライター紹介
小野楠奈
(Ono Nana)
富山県立大学工学部環境・社会基盤工学科の3年生。出身は滋賀県です。このゼミを通してSDGsについて多くのことを知れて、とてもいい体験ができました。
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